RETURN-RETURN
朝まで降っていた雪もやみ、太陽の光は痛いくらいにまぶしい。
学校のチャイムが授業が終了したことを知らせる。
グランドは木の側以外はすっかり茶色い土色が除いて何人かが集まってサッカーを始めた。
「おーい!デューン!!お前もやってけよ!」
その中の一人が、たった今校舎から出てきた男の子に叫んだ。
ベージュっぽいブロンドにブルーの瞳がよく似合っていた。
「わりー!チビたちが待ってるから、今日は帰るわ」
「お前も大変だな!」
デューンは少年たちにオーバーに手を振って門をくぐった。
デューンは鞄から分厚い本を取り出すと、それを読みながら家までまっすぐ町を突っ切る。
厚紙の表紙には『ローテン=ブルグの歴史』と金の刺繍がしてあった。
「『わが国は誕生以来、王制をとってきた。
王権は長子に受け継がれ、もし子息がいないときは、一番血縁関係の近い者が王位に就くように取り決められている』」
デューンはずっとセルヴァというこの小さな町で暮らしてきた。
町の隅から隅まで知り尽くしたデューンには、本を読みながら目的地まで行くことなど朝飯前だ。
「はぁ・・・今朝宿題を机の上に置き忘れなかったら、今月まだ4回でセーフだったのにぃ」